[良い音の録り方]
テープ反訳において、もっとも大事なことは実は『どれだけ良い音で録音されているか』にかかっています。録音状態が悪ければ、どんなに優秀なスタッフが対応しても悪い原稿になってしまいます。
記録をきちんと残したいならば、いかに良い音で録るかが大事です。
質問1.録音するのには何を使えばいいの?
質問2.録音をとるときに注意することは?
質問3.録音する機材によって注意することは?
質問4.複数の発言者がいる場合、声で区別がつきますか?

質問1の回答
かつて、録音媒体というものは、オープンリールというテープレコーダーが主流でした。しかし、カセットレコーダーの登場で、誰もが手軽に録音を録ることができるようになりました。
現在、テープ反訳業者のほとんどが、テープ起こし専用のテープレコーダー「トランスクライバー」か、パソコンソフトを使っています。
通常の再生機との大きな違いは、フットペダルというものがついており、足で再生機の操作をし、両手はキーボードのみに専念できるところにあります。また、このフットペダルは、足を踏むと再生、離すとちょっと巻き戻して停止するという機能がついています。このちょっと巻き戻して停止するという機能がテープ反訳をする際にはとても重要になります。聞き取りづらいところは何度も繰り返し同じところを聞きますし、音声と同じスピードでは起こせませんので、頻繁に一時停止を使用しますので、数秒戻って再生してくれないと、文章がつながらないこともおこります。これと同じ機能は.パソコンでは可能です。
現在は、たくさんの録音媒体ができましたが、その特徴と反訳に向いているかどうかについて以下に書いてみました。

●カセットテープ(評価 ◎)
 もっとも適しています。ただし、反訳で使用する機材の関係と、音声の問題から2倍速で録音はしないでください。
 また、録音の最中にテープが残り少なくなり、標準録音と2倍速とを併用する場合がまれに見られますがこれは最悪です。

●MD(評価 ×)
 最近大変増えてきているのが、MDですMD用にも前述の「トランスクライバー」が販売されています。しかしながら、MD用にはもっとも重要な足を離すとちょっと巻き戻して停止するという機能がついていません。したがって、作業上どうしてもテープにダビングしているのがどの業者でも現状のようです。ダビングすると音声は劣化しますし、ダビングする時間もかかります。また、MDはパソコンに取り込むこともできませんし、マーキングを録音時にしておかないと、聞きたいところの頭出しもできません。MDは音楽の録音には向いていますが、テープ反訳を前提とする録音には極めて向いていないでしょう。また、ハードとしての強度も極めて弱いので重要な会議などの保存にもやはり向いていないでしょう。

●ビデオテープ(評価 ×)
 録音は比較的きれいに録れている場合が多いようですが、やはりカセットテープにダビングする必要があります。ダビングすると音声は劣化しますし、ダビングする時間もかかります。したがってテープ反訳を前提とする録音には極めて向いていません。

●マイクロカセット(評価 ×)
 やはりカセットテープにダビングする必要があります。ダビングすると音声は劣化しますし、ダビングする時間もかかります。したがってテープ反訳を前提とする録音には極めて向いていません。

●ICレコーダー(評価 ◎)
 録音したものをWAVファイルかMP3ファイルかWMAファイルにしていただければ、問題ありません。ICレコーダーで録音したものは、メーカーによって独自のファイルになる場合が多いので注意してください。録音する際には、必ず高音質に設定してください。長時間録音するために音質を悪くするとやはり録音には向かないものになってしまいます。

●その他
 その他、DATやDVDなど現在、録音媒体は数限りなくありますが、いづれにせよ、カセットテープにダビングする必要があります。ダビングすると音声は劣化しますし、ダビングする時間もかかります。したがってテープ反訳を前提とする録音には極めて向いていません。

 
質問のトップへ


ホームページのトップへ

質問2の回答
注意をすることはたくさんあります。そして、各媒体によって注意事項がありますが、どの媒体を使おうが共通することもあります。
@外付けマイクを必ず使用する。
よく内蔵マイクで録音をとる人が多いですが、これが失敗のもとになります。
カセットレコーダー、MDプレーヤー、ICレコーダーなどにはレコーダーそのものに内蔵マイクがついています。しかし、これはほとんど役に立ちません。所詮、おまけのマイクなのです。マイクは、値段が高ければ高いほど性能がよくなりますが、性能として、指向性があるマイクと全方向性のマイクがあることは知っておきましょう。
鋭指向性のあるマイク 下の写真の(SONYのECM-G3MやECM-ZS90)のようなものです。
全方向性のマイクは、下の写真の(SONYのECM-R100)のようなものです。
それぞれ録音範囲が違います。  (下図参照)
これらの性能の違いを利用して録音してください。
鋭指向性 指向性 全方向性
ECM-G3M ECM-ZS90 ECM-R100

A音源から1メートル以内にマイクを設置する。
上の図のように、マイクがきれいに音を録るのには音源に近い必要があります。
マイクの設置に関しては、下記を参照してください。

講演会の場合
@ A B C D
レコーダーを録音状態にして演壇の上に置く。 演壇の上にマイクを1本セットして、延長コードを引いて手元のレコーダーで録音する。
場内拡声している場合、アンプから録る
会場内のスピーカーのすぐそばにマイクをセットして録音する。
ホテル等会場の係に依頼する。
会場内の席に座り、手元にレコーダーをおいて録音した場合、反響音ばかりが録音され、音は聞こえるが何を言っているのかわからないという録音になります。
座談会などの場合
机を囲んだ5人の座談会の場合

青のところにマイクを置くと、反響音が録音されてしまいます。また笑い声が入ったときなどは、発言者の声が聞き取れません。
赤のようにマイクは必ず発言者の口元から1メートル以内にセットしてください。

※10名から20名ぐらいの会議の場合マイク1本では録音は困難です。専門家に委託するか、必要な機材を揃えてください。

※人数が多い会議で拡声用マイクを使っている場合、アンプから録音するかもしくは、会場内のスピーカーのすぐそばにマイクをセットして録音してください。



質問のトップへ


ホームページのトップへ

質問3の回答
録音する機材によっての注意事項をまとめてみました。

●カセットテープ
 @音声を感知して自動録音・停止する機能)がついているレコーダーの場合、音声が小さい場合や音を感知するまでの発言の最初の部分が録音されません。テープ起こし予定の録音の場合は、この機能は「OFF/切」で使用ください。
 A会議時間が長いからという理由で『150分テープ』を使う方がたまにいますが、テープ起こしをする際には、何度も再生・停止を繰り返しますので、テープ切れや絡まりの原因になりますので、長くとも『120分テープ』にしてください。
 B長時間の会議の場合、テープ録音が途切れないように2台のテープレコーダーか、連続取り可能なレコーダーを使用してください。
 C新品のテープを使ってください。前の会議の録音が残っていると、反訳する際に区別するのは困難な場合がありますし、重ね取りしたテープは切れたり絡まりやすくなります。
 D人為的なミスとして、『二重録音』『電池切れ』『テープの頭切れ』などがあります。『テープの頭切れ』は、テープの最初と最後に数秒間録音できないリードテープという部分があるからです。(テープの半透明の部分)

●MD
カセットテープへのダビングが必要になるので、できるだけ高音質に録音してください。

●ビデオテープ
カセットテープへのダビングが必要になるので、できるだけ高音質に録音してください。

●ICレコーダー
長時間録音ができるのがICレコーダーの売りですが、残念ながら長時間録音モード(LP)は音質が良くありません。各メーカーによって違いますが、いずれも高音質モードで録音してください。

質問のトップへ

ホームページのトップへ

質問4の回答
声で誰が発言しているか判別することは不可能ですので、座談会や検討委員会などの複数の発言者がいる会議の場合、発言メモを取ってください。
発言者に番号をつけ、番号とはじめのワンセンテンスだけを書き取ってください。
(例)下のような6人の会議の場合の会議メモ

出席名簿 席番
佐藤一郎委員長 C
田中太郎委員 D
伊藤花子委員 B
太陽光一委員 E
月光照子委員 A
花賀 馨委員 @
    《発言メモ》
    Cこれより、第1回□□
    @説明します。      
    Cありがとう
    Dはい、この2の
    Cこの件について
    @お答えします。
    C他になにか
    B先ほどの
    Cそうですね。
    @伊藤委員さんの


質問のトップへ

ホームページのトップへ